まさに「モンスター」の凄(すご)さを見せ…
まさに「モンスター」の凄(すご)さを見せつける一戦だった。世界ボクシング協会(WBA)スーパー、国際ボクシング連盟(IBF)バンタム級統一王者の井上尚弥選手が米ラスベガスの試合で、IBF同級1位のマイケル・ダスマリナス選手(フィリピン)を3回KOで下した。
井上選手は2回に1度、3回に2度ダウンを奪うが、みなボディーブローによるものだ。ボディー攻撃は相手の足の動きを止め、顔面への決定打につなげるケースが多いが、これでKOするのだから凄い威力だ。苦痛に顔をゆがめたダスマリナス選手は、試合後に「息もできなかった」と語っている。
「顔でのKOには時間がかかると思ったので、ボディー狙いに切り替えた」という井上選手だが、何という自信だろう。スピード、パワーに加え、試合運びの上手さ、的確さも持ち合わせている。
モンスターと言えば、人間離れした身体能力を持つ選手をイメージする。だが、井上選手はテクニックも芸術的だ。もっといいニックネームはないかとも思うが、これだけ勝つための要素を持っていること自体、確かに怪物的である。
リングサイドでは、4団体統一を懸けて井上選手がどちらかと対戦することになる世界ボクシング評議会(WBC)、世界ボクシング機構(WBO)の両王者が観戦していた。
井上選手も「今回の試合のモチベーションは、その2人に対してのアピール」と語った。既に4団体統一戦は始まっている。