<会社へは 来るなと上司 行けと妻>。…


 <会社へは 来るなと上司 行けと妻>。第34回第一生命サラリーマン川柳コンクール1位に選ばれた句である。昨年秋に募集した6万句余りの作品から選ばれた。30代男性なかじさんの作で、新型コロナウイルス禍の中でのサラリーマンの姿が共感を呼んだ。

 2位<十万円 見る事もなく 妻のもの>(はかなき夢、30代男性)、3位<リモートで 便利な言葉 “聞こえません!”>(リモートの達人、50代男性)などもコロナの時代を反映している。10位<抱き上げた 孫が一言 密ですよ>(白いカラス、60代男性)も、言われた本人の複雑な表情が浮かんでくるようで面白い。

 1位の句については、解説で「なるべく部下を出社させたくない上司と働きに出て欲しい家族との間で板挟みになっている、ご主人の悲哀」とある。しかし妻は、家にいる夫を邪魔だと感じているのではないか。

 会社に出なくても基本的に給料は減らないだろうし、テレワークもある。いずれにしても、平日の昼間も夫が家にいるという変化がもたらした句である。

 第一生命のサイト「みんなのサラ川」に、川柳作家、やすみりえさんの総評が載っている。「突然もたらされた生活の変化。私たちを取り巻く風景や人との係わり方も新たなものへと移りました。川柳はこんな時こそ心のオアシス」。

 嫌なことも苦しいことも、ユーモアに包んで乗り越える。そんな江戸以来の知恵を今に生かしていきたい。