「日本の歴史を変えるレース」(瀬古利彦…


 「日本の歴史を変えるレース」(瀬古利彦・日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)。早春の琵琶湖畔を駆け抜ける最後のびわ湖毎日マラソンで、一般参加の伏兵、鈴木健吾選手(富士通)が2時間4分56秒の日本新記録で初優勝するのをテレビ観戦した。

 ペースメーカーが日本記録を上回る1㌔2分58秒の設定で引っ張り、それでも25㌔まで十数人が残った。36㌔給水所で先頭3人の争いの中から抜け出すと、一気に引き離しゴールした独走は見応えがあった。

 驚くのはゴール後も、余裕十分な涼しげで爽やかな笑顔でいたことだ。インタビューでは、12位に終わった昨年のびわ湖の「悔しさを持って取り組んだ1年間、けがもなく十分に充実した練習を積み重ねてこられたこと」を勝因に挙げた。

 この1年は新型コロナウイルス禍に伴って何かと制限された期間であるが、やれることを着実にこなし力を蓄えてきた。2週間の隔離生活での体幹鍛練などで先のテニス全豪を制した大坂なおみ選手にも通じるところがあろう。

 びわ湖では、2位の土方英和選手(2時間6分26秒)から5位までの4人が6分台の記録で、男子マラソン日本歴代10傑にその名を連ねた。

 6位から15位までが7分台となる記録ラッシュ。気温、風などの好コンディション、厚底シューズ効果などもあろうが、選手にとって記録を出したことの自信は大きい。男子マラソンは世界を狙い、大きく底上げされたのだ。