無観客だった5カ月前のテニスの全米オープン…
無観客だった5カ月前のテニスの全米オープンで3度目の四大大会制覇。その準決勝で激闘を演じた強打のブレイディ選手(米国)を、今回は観客の前で圧倒しての全豪制覇である。テレビ生中継で見た大坂なおみ選手は、パワーだけを武器に頂点に立った最初の全豪(2019年)から大きな変身を遂げていた。
ポイントでエースを奪える強力なサーブ、広角に打ち抜くリターン、深くえぐって常に圧をかけるラリーからの強力ショットと、どこからでもポイントを奪っていく。
守備力も軽快なフットワークで格段に上げた。競り合う試合展開の中でも、相手の好プレーには称賛するしぐさも見せた。自己コントロールできる心の成長を示した。
23歳にして隙のないオールラウンドのプレーが、トップ選手として息の長い活躍を予感させる。それでいて、なお発展途上のノビシロを残している。
「オリンピックもあるし、全仏、ウィンブルドンでもいい結果を残したい」と早くも先を見据える。その東京五輪・パラリンピックは、新型コロナウイルス禍など多くの課題の克服が開催のカギを握る。今回の全豪でもコロナ禍の中、選手の2週間の隔離生活や無観客試合、観客数制限などがあった。
国内でも大相撲初場所や埼玉スタジアムのサッカー・富士ゼロックス杯(観客4000人余)などが開かれてきた。こうした実績から智恵(ちえ)を得て、世紀の祭典の安全開催につなげてもらいたい。