マルハニチロホールディングスの子会社…


 マルハニチロホールディングスの子会社アクリフーズ群馬工場製の冷凍食品に農薬マラチオンが混入された事件で、捜査当局は同社の契約社員の男(49)を逮捕した。給与面などで、会社への不満があったとみられている。

 当局は、農薬は工場内で混入されたものとして捜査した。2007年から08年にかけて起きた悪質な中国製ギョーザ中毒事件を思い出した人も多かろう。

 農薬が混入された製品の包装に記載された製造日、時間帯を調べ、その時間帯に勤務した従業員を中心に事情聴取し、所持品鑑定を念入りに行った。それが功を奏し結局、会社側の安全、労務管理の手落ちも明らかになった。

 従業員らは当初、製品の種別ごとに別々の部屋に仕切られたラインは常時、複数人で対応し1人になる機会はない、私物の持ち込みは一切できないなどと証言していた。それだけに会社側のショックは大きかろう。

 従業員が悪意をもって確信的に行う今回のような事件を防止することはなかなかたやすくはない。監視カメラでつぶさに監視したり、ボディーチェックを行ったりすることなどが考えられるが、少なくとも日本の企業にはあまりなじまない。

 安全の基本は互いの信頼関係というのが暗黙の了解となっているからだ。従業員に対する教育、意識改革をいかになすか。いわゆる危機管理対策で、最も大きな課題が浮き彫りとなった事件だった。