冬といえば鍋物である。体が熱を求めている…


 冬といえば鍋物である。体が熱を求めているせいもあり、グツグツと煮える鍋を前にすると食欲がわく。特に、野菜の中では白菜が食感もいい。

 角川書店編『今はじめる人のための俳句歳時記』には、白菜について「中国原産で、わが国には明治時代に渡来。卵形の葉が固く結球し、柔らかい葉と白い肉厚の葉柄の部分を食べる。漬物に鍋物に、冬の食卓には欠かすことができない」とある。

 冬の風物詩である鍋物に関して、今シーズンは困ったことがある。鍋物は一人でなく大勢で食べると楽しいのだが、コロナ禍ではそれが難しい。残念である。

 クリスマスも終わり、この後は大掃除など正月を迎える準備がある。そして、大みそかの年越しそばや除夜の鐘などの通過儀礼が待つ。といっても、そのあたりはそれぞれの家庭によって変わってくる。

 大みそかに紅白歌合戦を見ないと年を越した感じがしないという人もいるだろう。「歌は世につれ世は歌につれ」という言葉があるように、流行するのは時代や社会世相を映した歌である。流行を振り返ることは、この一年の回顧であるとともに、新しい年を迎えるための心の準備でもある。

 とはいえ、こうした儀礼も、古い世代にとっては当たり前でも、世代が変わるとまた違ってくる。かつての大家族から核家族化が進んだことで、そのような年越しの姿も変わってきた。寂しいことだが、来年は良い年になるように祈りたい。