製造に早くて3年、普通10年はかかると言われ…
製造に早くて3年、普通10年はかかると言われた新型コロナウイルスワクチンだが、欧米では米ファイザー社開発のワクチン接種が始まり、日本でも来春、開始があり得るという。驚くほどの展開だ。
小紙21日付「アメリカ保守論壇 М・ティーセン」によると、米国での実現のカギは「開発を連続的にではなく、並行して進めたところ」にあった。トランプ政権は7社以上の製薬会社を競合させた。
「八つのワクチン候補に100億㌦を投じ、有効性が証明される前に数億回分のワクチンを買い取った」という。ちなみに、うち2社の開発は失敗した。またワクチンの輸送と配布を軍に担当させ、コロナの影響を受けやすい人から接種を始め、全国民に拡大していくというプログラムを持っている。
「ローマは一日にして成らず」という。米政府はバイオ技術や医療技術、脳科学などの研究を21世紀の最重要課題の一つに位置付け、投資を続けており、その延長線上にある今回の成果だろう。現政権のリーダーシップ、国の要請にすぐさま応えた製薬業界の技術力がものを言った。
ひるがえってわが国は、ワクチン開発力では米国と大きな差のあることが改めて分かった。政府は開発に、より力を入れる方針という。
今後、行政主導で各種のがんなどを対象にしたワクチン開発を展開し、膨大な国民医療費の徹底削減を図っていくという方策もあるのではないか。「禍(わざわい)を転じて福となす」である。