紅葉の盛りながら、霜月11月も後半に入った…


 紅葉の盛りながら、霜月11月も後半に入った。二十四節気の立冬から10日が過ぎ、この22日は小雪(しょうせつ)。<木々の葉は落ち、平地にも初雪が舞い始めるころ>という。暦の上ではいよいよ冬近しである。

 翌23日は、五千円札を飾った端正な肖像の樋口一葉(本名・奈津)の命日の一葉忌。「たけくらべ」「にごりえ」などの名作を残し、24歳で夭逝(ようせい)した作家にちなむ<一葉忌とはこんなにも暖かな>(川崎展宏)の句がある。

 初冬のこの時期に訪れる春のように暖かな晴れた日を「小春日和」と形容する。冬の季語である「小春」は陰暦10月の異称で「小」は「……に似た」の意味を持つ。小京都や小江戸、小天狗などの用法ともつながるようだ。

 天気予報によれば、今週は小春日和を楽しめそうだ。最高気温が20度以上の日が多く、10月中旬並みの陽気になるという。

 しばらくは小春の陽光の下で残り短い紅葉を愛(め)で、リンゴにミカン、ブトウに柿、栗、ラ・フランスなど味覚の秋を堪能したい。この後には冬が待ち構えている。駅前ターミナルの夜は、既にツリーや色とりどりのキャラクターをデザインしたクリスマス・イルミネーションが輝きを放っている。

 業者などから来年のカレンダーが届き、ケーキの予約受け付けや年賀はがきの発売も始まった。新年に向かう時の流れは慌ただしくなるが、新型コロナウイルス禍に振り回された今年に早くオサラバしたい気持ちの表れと前向きに捉えたい。