雨を弾(はじ)いて生き生きとしてくる紫陽花…


 雨を弾(はじ)いて生き生きとしてくる紫陽花(あじさい)を眺めても、少し嫌だなと思ってしまうのが梅雨時である。この時期の旬は紫陽花だけではない。昨日の本紙(3面)には「日本一の魚 イワシが旬」の記事が掲載された。

 何が日本一かというと、昨年の魚種別の漁業生産量でイワシがトップに躍り出たことを指す。約54万㌧でサバに約9万㌧の差をつけ、1995年以来、24年ぶりに首位となった。

 かつては448万㌧(88年)だった漁獲量も2005年には3万㌧弱まで落ち込んだ。今年の水揚げは昨年に続き順調で、本場の銚子港(千葉)をはじめ、宮城、鳥取などの漁港がにぎわっているという。

 イワシは年中、市場に出回っているが、旬は今どきの「入梅イワシ」。増水した川は森や大地の栄養を海に流す。その豊富なプランクトンを摂取し、たっぷり脂が乗っておいしくなった大型イワシは「金太郎イワシ」と呼ばれ特に喜ばれる。

 近年はサンマの不漁続きで、北海道でも釧路や根室沖合の近海イワシ漁の水揚げが増えている。これから漁獲シーズンに入るが、本州に続いて昨年以上の好漁が予想されている。鮮度のいいイワシは刺し身でと、極上品は直に空輸され、銀座の高級すし店に届く。「空飛ぶイワシ」である。

 動脈硬化の予防効果などがある不飽和脂肪酸を多く含むイワシは、健康にいい食材としても注目されている。その割に人気上位といかないのは大衆魚のイメージが強いからだろうか。