米宇宙企業スペースX社が開発した有人…
米宇宙企業スペースX社が開発した有人宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げが成功した。米国の有人宇宙飛行は、2011年に運用を終えたスペースシャトル以来9年ぶりで、民間の打ち上げ成功は初めて。
トランプ大統領は「米国の大志の新しい時代が始まった」と宣言した。これまで国際宇宙ステーション(ISS)への要員輸送をロシアの宇宙船に依存していた現状を打破。してやったりだろう。
米航空宇宙局(NASA)は今後、自前の宇宙船を持たず、同社から“タクシーサービス”を借り、ISSへの要員輸送を行うという。民間企業が有人宇宙飛行を成し遂げたことは驚きだ。
16年9月、同社のロケットが爆発し、炎に包まれた映像が世界に流れた。「民間で有人宇宙船の開発は、到底無理だ」「最高経営責任者のイーロン・マスク氏の野望ついえたり」と誰もが思ったはず。しかし、彼は諦めなかった。
有人飛行では絶対的な安全対策が必要だが、民間企業だから費用対効果も無視できない。コストの調整をどう図ったのか。同社の資金、技術力の高さやマスク氏の経営手腕が改めて注目される。
各国の宇宙開発競争は安全保障も絡んで激しさを増している。宇宙に進出すれば、国民に大きな夢を与え、国威発揚にもつながろう。日本でも最近、民間の宇宙産業参入の動きもあるが、米国の企業が先駆けて宇宙開発でフロンティアスピリット(開拓精神)を世界に示した意義は大きい。