新型コロナウイルス感染拡大の影響で雇い止め…


 新型コロナウイルス感染拡大の影響で雇い止めになった人などを農産地に呼び込むため、農林水産省は、農業研修を望む人に宿泊の費用を支援したり、雇用主となる農家に労賃を補助したりすることになった。

 野菜の収穫などを手伝う外国人実習生が来日できず、急場をしのぐためでもあるが、わが国では農業や林業の担い手が減り続けており、その育成の一環でもある。農業経験がある応募者には、農業大学などで最新の農業機械の操作を学べる工夫もしてある。

 農業に今まで縁はなかったが、一念発起で携わってみたいという人、地域の農業現場で働きたいと思う社会人や学生、主婦らも対象だ。人生のピンチをチャンスに変えられるかもしれない。

 2年前、取材で福島県の中山間地、二本松市東和地区を訪ね、15年前に東京から移住してきた当時47歳の男性に会った。当初、移住は頭の隅にもなかったが、農家でのホームステイ、日常体験を経て、農業をしてみたいという気を起こしたそうだ。

 政府はかねて集約的農業を勧めているが、「地域の風土に根差した、自然や環境に優しい農業がここにある」ことを確信し、夫婦で移り住んだ。

 地図上ではずいぶん奥まった所だが、朝8時すぎに東北新幹線で郡山へ行き、在来線に乗り換え昼前には現地に。そこは標高400~500㍍の別天地で、米・野菜作りのほか、事業主としてワイン造り、民泊施設の経営などを手掛ける移住者もいる。