3月半ば、草木が薄緑に萌(も)える時期に…


 3月半ば、草木が薄緑に萌(も)える時期になると、庭に来ていた2羽のヒヨドリが帰って行った。昨年の初冬から来るようになって、外に出るとわめいて餌をねだった。が、観察すると必ずしも仲が良いわけではない。

 餌の奪い合いをするのだ。パンくずを置くと一方が餌台を占領し、他方を寄せ付けまいとする。が、それでも一緒にいる。収入をめぐる人間のどこかのカップルに似ているのかもしれない。

 週4回ほど、人けの少ない近所の畑道を選んでウオーキングをしている。畑では餌を探しているヒヨドリの群れをいつも見掛けたが、今はほとんどいない。代わりに、よく見掛けるのはインコの群れだ。

 ギンナンを栽培している農家の庭にあるケヤキの巨木を棲(す)みかにして、梢(こずえ)近くの穴の中に巣を作り、6~7羽がここを拠点にあちこち飛び回っている。1・2㌔離れた所でも見掛けた。

 NPO法人自然観察大学学長・唐沢孝一さんの『身近な鳥のすごい食生活』(イースト新書Q)によると、ワカケホンセイインコだ。緑色で長い尾を持ち、頭が丸く、嘴(くちばし)が下についているので見分けやすい。

 原産地はスリランカで、ペットとして輸入され、野生化した外来種。主食は果実や種子で、この辺り、畑や庭のある家も多いから棲みやすいのだろう。彼らとあいさつしながら小さな公園に来ると、バレリーナが一人でレッスンをしていた。新型コロナウイルスの影響で舞台に立てなくなったのではないか。