新型コロナウイルスの感染拡大の影響で…


 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で人の往来が少ない駅のホームから、線路越しにタンポポを見掛けた。緑の草に埋もれた黄色い花は、けなげに春の喜びを歌うようだった。

 テレワークのため、家にいることが多いので、久しぶりに見た野の花は心に染みる。特にタンポポは最近、あまりお目にかかれていない。辛うじて、売地や舗装路のひび割れなどから顔を出しているのを発見するぐらいだ。

 以前、コンクリートのすき間などで生きる野の草が話題になったことがある。「ど根性」という言葉と共に写真も紹介された。しかし、身近な周辺を観察すると「ど根性」の植物はどこにでも見掛ける。

 植物の生命力の強さに驚かされる。タンポポなどはその代表的なものかもしれない。家にこもっていると、どうしても季節感が薄れてしまう。少しでも自然の風景に接すれば、改めて四季それぞれの特徴を意識する。

 都市化によって郊外に追いやられていく動植物だが、都会で生き延びるために「ど根性」を発揮するものもいるということだろう。

 季節感を感じた出合いをもう一つ。会社の最寄り駅に着いた時、改札口付近で鳥の鳴く声を聞いた。せわしげに高音で鳴くツバメだった。今年も子育てにやって来たのだろう。たとえどのようなことがあっても、新しい季節は必ず到来するのである。ツバメの声を聞きながら、やがては新型コロナも終息するという希望を感じた。