新型コロナウイルスによる肺炎の発生を、…
新型コロナウイルスによる肺炎の発生を、当局が公表する前にいち早く警鐘を鳴らした中国・武漢市の医師、李文亮氏が新型肺炎のため亡くなった。33歳の若さだった。李医師ら8人は、地元警察に「デマを流した」として訓戒処分を受けている。
眼科医として診療に当たっていた李医師は自身も感染し入院していたが、入院中も、ソーシャルメディア「微博」に自身の状態や考えを発信していた。李医師らの重要な情報を封殺したことが、初動の遅れを決定的にした。
ネット上で、当局の情報隠しへの批判が噴出する中、党政治局常務委員会は3日、「欠点と不足」を認め異例の「反省」を表明した。李医師が亡くなった7日には、公職者の不正を摘発する国家監察委員会が調査チームを武漢に派遣すると発表。地方政府に責任を擦(なす)り付け、中央政府や共産党中央への批判を抑えるのが狙いだろう。
しかし政府が情報の監視・統制を強化する中国では、情報公開一つにしても「地方は国から権限を委託されて初めて情報を公開できる」(周先旺・武漢市長)のが現状である。
李医師らが警告を発して10日ほど後の1月9日に、専門家チームが新型コロナウイルスによる肺炎の判断を下したが、習近平主席が「蔓延阻止」の指示を出したのは20日。