歳時記は俳句を作る人たちにとって必携の…
歳時記は俳句を作る人たちにとって必携のもので、何種類もの書が出されてきた。だが、時代の変化とともに物足らなくなって「作者達は、更に新しい歳時記の出版をもとめ、或いは自分の手で改良して見たいといふ気持が起る」。
これは水原秋櫻子が「新編歳時記」(大泉書店)を編纂(へんさん)した時の言葉。今もその通りで、俳句結社では自分たち独自の歳時記を作るところもある。能村登四郎が創刊した「沖」では過去3度も出してきた。
現代俳句の特色の一つは、海外で詠まれた作品が多くなっていることだ。外国でも俳句を作る人が増えている。20年くらい前から世界中でブームで60カ国に根付き、特に25カ国で盛んだという。
2014年にベルギーで国際俳句交流協会(有馬朗人会長)の創立25周年記念シンポジウムが行われた際、基調講演をしたのは初代欧州理事会議長のヘルマン・ファンロンパイさんで、政治家にして俳人。
「俳句は短くて、その短さの中に調和があり、パラドックスがある不思議な詩形だ」と形容して「俳句は日本からヨーロッパに移入され、その思想体系に組み込まれた実例だ」と語った。
有馬さんは「海外俳句のすすめ」を主張してきた俳人で、その考えは師の山口青邨から学んだもの。青邨の戦前の作品に「たんぽぽや長江濁るとこしなへ」があり、「たんぽぽ」は世界の季語となった。有馬さんは今、俳句をユネスコの無形文化遺産に登録すべく活動中だ。