OECD(経済協力開発機構)による学習度…


 OECD(経済協力開発機構)による学習度(高校1年生)の調査結果が公表された。日本については「読解力」の低下が指摘された。想定通りの結果ではあるが、放置しておけばいいというわけにはいかない。

 読めない人間は書けない人間でもあるのだから、長文を読み取る能力が低いとなれば、ある程度の長さの文章を書く能力が低下するのも当然だ。

 長文が苦手なのは、長文に触れる機会が少なくなったからだ。短文ばかり読んだり書いたりしていれば、長文の読み書き能力は確実に低下する。

 短文では、言葉について意識する機会が少なくて済むから、言葉に対する関心も低くなることが多い。何でも「かわいい」で済ますようになれば、かわいい以外の単語は消える。かわいいという言葉がありきたりで月並みだとの意識自体もなくなってしまう。

 自分の考えを根拠を示して表明する能力も低下している。教育外の話だが、テレビの街頭インタビューなどでも、意見はあっても根拠が示されることはない。そもそも、インタビューする側が根拠に関心がない。

 「日本語の読み書きの能力だから自然に身に付く」と安易に考えない方がいい。教える必要も学ぶ必要もありそうだ。旧来のマークシートだけでは不十分ということで、大学入試に記述式の問題を導入する予定だが、反対論も多い。一気に物事が進むわけではないが、長期的には記述式の導入が有効なことに変わりはない。