オリヴィエ・アサイヤス監督のフランス映画…


 オリヴィエ・アサイヤス監督のフランス映画『冬時間のパリ』を観た。タイトルからマロニエの枯れ葉散る晩秋から初冬のパリが浮かび、これを観(み)ればパリに行った気分になれるのではないかと試写会場に足を運んだ。

 編集者アランと作家レオナールの家族同士の不倫などでやや込み入った人間関係をコメディータッチで描いている。最後はレオナールが妻から妊娠を知らされ大団円となる。

 映し出される街角やカフェの情景からは、晩秋のパリの変わらない雰囲気が伝わってきた。しかし、フランスでも大きく変わりつつあることが映画のサブのモチーフだった。それは出版のデジタル化という問題。

 編集者が親しい仲間を集めて開いたホームパーティーの場から始まって「デジタル化の潮流の中で紙の本は生き残れるのか」というテーマが延々と論じられるのである。監督の野心的な試みだ。

 退屈を覚えるような展開だが、全くそう感じなかったのは「今の若者は本を読まない」など議論に現代が息づいていることや会話の洒脱(しゃだつ)さによるものだろう。と同時に新聞社に勤める者にとって、デジタル化の潮流は他人ごとではないからである。

 その中で「変わらないためには、変わるしかない」というルキノ・ヴィスコンティ監督「山猫」のサリーナ公爵の科白をアランが語ったのが印象的だった。出版関係者必見のこの映画は12月20日からBunkamuraル・シネマほか全国順次公開。