マイアミからキューバを眺めると
マイアミの風
今、トランプ氏が共和党の大統領候補として物議を醸しながらも首位を確保している。最初はメキシコ移民をけん制し、あまりの本音に支持率を上げ、やはりフランスのテロによりイスラム圏の移民けん制発言が追い風になった。
今までの共和党候補としては、ゲテ物扱いだったのに首位を続けているので、共和党の重鎮も困っているのは確かだ。
スマートで名声があり、メキシコ系の夫人をもつブッシュ氏が低迷、他の候補もインパクトがない。
民主党候補でトップのヒラリー氏だって経験豊富でやり手だが、新鮮味がなく、しかもこれからの世界情勢に対応できる体力があるのか疑問だ。米国大統領職は激務だからだ。だから大統領選は低調にならざるをえない。
トランプ氏の移民政策に支持があるのには理由がある。米国が大きな国であり移民を受け入れてきた国であったとしても、現在不法滞在者は1千万人を超える。
現在も南米からあらゆる手段を使って米国に流入している。特にキューバはカストロの革命以後、移民、難民が50年以上にわたって流入しており、現在のヨーロッパの難民問題の先駆けであるから、参考にすべきことは多い。
米国はテロを警戒し、これからは正規の入国者にも様々なフィルターをかける。現に3カ月滞在の協定がある国の観光者であってもシリアなどに滞在した経験者に対しての法案が可決の見通しだ。
キューバは米国との関わりから1966年にキューバ人地位調整法が結ばれ、キューバ人は他の中南米諸国と違って着いたその日から働くことができるようになった。しかし50年という歳月はやはり長い。カストロ批判で頑張った闘士もいなくなり、その後の米国籍キューバ人は米国の生活に馴染んでキューバは遠く貧しくややこしい国にすぎない。
フロリダや東部のスパニッシュ系をあてに選挙をすすめる時代は終わったのである。キューバ系米国人がはっきり、移民反対を叫ぶ時代になった。
最近キューバを脱出し、ビザなしで受け入れるエクアドルを通過、中米を通り米国に入ろうとしたキューバ人がニカラグアなどで通過拒否にあい立ち往生しているニュースを読んだ。米国とキューバの国交回復とオバマ大統領は宣言したが、これが実態だ。
今まで面倒みてあげたんだから、国交回復という名目で自立しなさいと言っているのだ。今後キューバ人の入国は厳しくなる。キューバにある米領グアンタナモ収容所でイラク戦争で連れてこられた捕虜の虐待の問題があった。その捕虜達がISに所属し、テロリストとなって米国を狙うという背景もある。
(マイアミ・三石江里子)