「朝日」流数字のまやかし
学力調査で、新聞を読む子供の学力は高いという結果が出ている。新聞を毎日読めば、さまざまな知識や語彙(ごい)が身に付く。このため、新聞を読むことは大学受験に有利になると宣伝する新聞もあるが、そうでなくても、新聞を読む意欲のある子供はもともと好奇心が強く、学習意欲に満ちている。新聞を読めばさらにその性向が刺激されるから、学力が高くなる。
だから、中高生には新聞を読むことを勧めるが、新聞によっては、偏った考え方を植え付けることになるから要注意だ。それを思ったのは、12月18日付朝日新聞1面「主権者よ しつこくあれ」を読んでのこと。
この記事は、与党の圧勝となった衆院選挙を受けて朝日の「特別編集委員」が書いた。出だしから、「こんな選挙は二度とごめん被りたい」と、「少なからぬ有権者」の「心境」を代弁する形を取って、こずるい大人の手本を見せている。
読者を甘く見ているのか、自分の都合に合わせて数字を短絡的に解釈する手法も用いている。投票率が53%を切って戦後最低だったことから、「いま有権者心理の最大勢力」は「棄権党」。それは「47%」の有権者が「選んだ」もの。だから「第2勢力は自民」というのである。
朝日を読む子供もいるのだから、こんな数字のまやかしをやってはいけない。記事で触れていたが、投票しなかった理由はいろいろある。中には、「自公3分の2超す勢い」(朝日12月11日付)という情勢分析を読んで、「投票に行かなくても勝つな」と思った自民支持者もいたろうし、雪で投票場に行けなかった現状肯定派もいたに違いない。
それを知っていながら、「棄権党」と一括(ひとくく)りにして「最大勢力」とした魂胆は見え見え。子供に新聞を読むことは勧めるが、自分勝手に数字を解釈し自己の主張を正当化する小賢(こざか)しい智恵だけは身に付けないでほしい。(森)