1~2人乗りの「超小型車」、続々と公道に
環境に優しく小回り利く、観光や高齢者の移動手段
軽自動車より小さい1~2人乗りの「超小型車」が続々と登場している。環境に優しく小回りが利く特長を生かし、地域の身近な乗り物として観光客や高齢者、主婦の利用を見込む。ただ、本格普及には製造コストの引き下げに加え、道路運送車両法上の新たな車両区分の創設など課題も残っている。
国土交通省は昨年1月の規制緩和で、自治体が指定した公道(高速道路除く)で超小型車の走行を特例として認める制度をスタート。車体サイズは軽自動車以下で、電気自動車(EV)の場合はモーター出力8㌔㍗以下と規定した。
日産自動車は昨年10月、横浜市と共同で2人乗り超小型EV「ニューモビリティコンセプト」を使い、観光客や市民向けにカーシェアリングを開始。市内に貸し出しステーションを50カ所以上設置し、利用者は1分20円で使える。現在50台が稼働中で100台まで増やす。
日産は神戸市や岩手県平泉町などにも提供。現在は観光客の利用が多いが、「今後は地域住民の足として定着させるのがカギ」(ゼロエミッション企画本部)という。
ホンダは、1月から熊本県やさいたま市、沖縄県宮古島市で超小型EV「エムシーベータ」の公道走行を順次開始。観光や都市部での移動手段として利用してもらう。
トヨタ自動車は、愛知県豊田市でトヨタ車体製の1人乗り超小型EV「コムス」を使ったカーシェアリングを実施中。昨年の東京モーターショーには2人乗りのコムスが披露され、将来の市場投入を見据える。
安全性基準を定めた道路運送車両法上の車両区分がない超小型車は現在、1台ごとの認定が必要だ。市販化には軽自動車よりも安い70万円程度まで価格を引き下げねばならないが、「制度が未整備では量産化に踏み切れない」(大手自動車)。このため、国交省は早ければ2015年度にも超小型車の区分を新設し、普及を促したい考えだ。