鵜飼いに用いられるウミウは渡り鳥だ。…
鵜飼いに用いられるウミウは渡り鳥だ。春は繁殖のために北海道方面に、秋には越冬のために本州沿岸や九州方面に向かう。山口県・壁島のように越冬地が天然記念物に指定された所もある。
茨城県日立市十王町の伊師浜には、4月から6月、そして10月から12月に、渡りのためにやって来る。この時期こそ捕獲シーズンで、全国でたった1カ所のウミウの供給地。
鵜飼いも観光地以外ではほとんど姿を消したが、それでも全国12カ所の川で行われており、岐阜県長良川の鵜飼いでは、毎年10万人もの観光客が観覧船に乗る。だが伊師浜では、平成15年に捕獲場所が崩落、ウミウの供給ができなくなってしまった。
鵜飼いの存続も危ぶまれたことから、供給を受けていた全国11市町で「ウミウ捕獲技術保存全国協議会」を設立。16年には新しい捕獲場が完成して捕獲が再開。長い間1人だった捕獲職人も今は2人に。
ウミウは一般保護鳥で、捕獲制限があり今年の供給数は30羽。このために100羽捕まえて選別するそうだ。体格がよく、若いものが好まれるが、鵜匠による好みもさまざまで、リクエストがあるという。
この捕獲場が来年1月5日から3月末まで一般公開される。そこは断崖絶壁で捕獲用の鳥屋が設置されている。近くにはおとりを飼育する「鵜のパラダイス」もある。ユニークな観光地だが、昨年は1万人以上の人々が訪れた。