まさに死闘と言っていい対決であった。テレビ…
まさに死闘と言っていい対決であった。テレビ桟敷からの観戦でも、両者が力を振り絞って技をかけ合う迫力が伝わってきた。3連覇を狙う王子谷剛志と3年ぶり復活Vにかける同学年の原沢久喜の柔道の全日本選手権(日本武道館)決勝。
重量級の2人は2月の国際大会決勝でも対戦したが、互いに技が出なかった。両者とも反則負け(指導3)で準優勝という屈辱を味わった因縁のライバルだ。
この日は大外刈りをかけ合うなど互いに激しい攻防を見せた。延長戦でも譲らずどちらも力尽きかける中で、「心のスタミナ」(テレビ解説者)が切れなかった原沢が攻勢を続け、王子谷を指導3に追い詰めて決着。9分16秒の死闘を制したのである。
もう一つは、体操の全日本個人総合選手権(東京体育館)で19歳の新星・谷川翔(かける)が史上最年少Vに輝いたこと。予選2位から同1位の白井健三を逆転、「絶対王者」内村航平の11連覇を阻んでの栄冠である。谷川はトップの種目はないが、全体2位のゆか、6位あん馬など鉄棒を除く5種目で10位以内という抜群の安定感が際立った。
全日本の出場権は今年3月のトライアウト1位で得たもので、一気に階段を駆け上がってきた。美しい演技に加え、ピタリと決める着地は吸い込まれるようで鮮やかな印象を刻む。
体操は、演技を終えるごとに同じ組の選手同士が笑顔のハイタッチで健闘を讃(たた)え合う。選手の間にある和気あいあいの雰囲気も好ましい。