大相撲初場所14日目に初優勝を決めた平幕の…
大相撲初場所14日目に初優勝を決めた平幕の栃ノ心。千秋楽(28日)でも相撲のうまい遠藤を、右からすくって上手を切り、押し出すという技と力の詰まった取り口で有終の美を飾って14勝1敗で賜杯を手にした。「こんな日が来るとは。人生最高の日」と目を潤ませた。
人口約400万人で国土は日本の5分の1弱のジョージアから12年前に18歳で入門。柔道などで鍛えた恵まれた体格と怪力で、初土俵から4年の2010年名古屋場所で新三役に。だが13年名古屋場所で右膝に力士生命を脅かす重傷を負い、4場所連続休場で幕下まで転落。
春日野親方(元関脇栃乃和歌)の激励に奮起し、復帰した14年春場所から幕下、十両で4場所連続優勝し九州場所で幕内にカムバックした。
復帰を機に、左上手狙いにこだわり力任せだった取り口も変わった。前に突っ張って圧力をかけてから得意の右四つに持ち込む取り口、速い攻めが膝への負担を和らげた。根っからの稽古好きとはいえ、人並み外れた努力の賜物(たまもの)である。
外国出身の力士は総じて日本語を上手に話すが、特に栃ノ心のなまりのない語り口にも感心させられた。「何度もやめようと思ったが、皆さんの応援が力に。本当に幸せ」「これからも稽古を一生懸命し、親方の言うことを聞いて、来場所もいい相撲を取れるように頑張りたい」。
土俵の形相とは違う応答からは勝って驕(おご)らない、しこ名通り素朴な心遣いが伝わってくるのも魅力だ。