「枝深きにもまたゝきて聖樹の灯」(小路生雅)…


 「枝深きにもまたゝきて聖樹の灯」(小路生雅)。きょうはクリスマス。この季節、浮き立つような気持ちになるのは、少し前からクリスマス・ソングが盛んに流されるからだろう。街で目立つのも、ケーキを販売する店や街路のイルミネーションだ。

 単なる商戦と言ってしまえばそれまでだが、クリスマスをイベントとして楽しむ日本人の祭り好きの性格も背景にある。クリスマスは俳句の季語にもなっている。

 稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』には「クリスマス・ツリー(聖樹)が飾られ、またデパートなどではクリスマス贈答品を売り、家庭でも子供たちへサンタクロースの伝説にちなんだ贈物をしたりする」とある。

 「ケーキ切るだけのわが家のクリスマス」(下村梅子)。日本のクリスマスは宗教色が薄く、恋人と過ごしたり家でケーキを食べたりすることが多い。桃の節句やこどもの日のように家族で祝う日というイメージがある。

 ところが、最近では1人で過ごすケースも増えている。これを「おひとりさまクリスマス」と呼んでいるらしい。核家族化や少子化のせいなのか、あるいは個人主義や非婚化の傾向のせいか、その他理由はさまざまだろう。

 かつて『おひとりさまの老後』という本がベストセラーになり、「おひとりさま」という言葉が流行した。1人は気ままだが、寂しさは否めない。やはりクリスマスは家族と一緒に祝いたいものである。