横綱鶴竜が1年納めの九州場所を7場所ぶり…


 横綱鶴竜が1年納めの九州場所を7場所ぶり幕内優勝(14勝1敗)で締めた。一昨年春場所の初優勝で横綱に昇進。推挙した当時の横綱審議委員長の内山斉氏は「(16歳で日本に来て)10年間で一気呵成に横綱になった。この後は、ゆっくりと長く綱を張る横綱に」と期待を込めた(『日本再興への道筋』小社刊)。

 だが、この2年間は肩や腰のけがで不調続き。白鵬、日馬富士が賜杯を抱くのを横目に「これで同じ横綱なのか」と自問もし苦しみもがいた。

 それでも腐らず精進を重ねた。地味だが、いつの間にか有利な体勢をつくるしぶとい取り口に磨きをかけた。9場所かかったが、昨年秋場所に横綱初優勝し、今回が3回目の栄冠。勝っても負けてもポーカーフェース31歳の笑顔も珍しく、温かな気持ちにさせてくれた。

 もう一人、顔と体型が相撲人形のように美しいこの力士の笑顔を見たいファンも多かろう。この1年、今場所を含め4たびの優勝次点と横綱に最も近づきながら、大事な一番を勝ち切れなかった大関稀勢の里だ。

 今場所の3横綱撃破で見せた強さと、優勝なし力士では初の年間最多勝となった抜群の安定度は来年につながる。今年の幕内優勝は初場所の琴奨菊に始まり、白鵬(春、夏)、日馬富士(名古屋)、豪栄道(秋)、今場所の鶴竜と5力士で分けた。

 白鵬に衰えが見え、来年はさらに混戦となりそうだ。悲願の日本人横綱誕生へ、お楽しみは初場所に。