「賀状書くうすき縁となりにけり」…
「賀状書くうすき縁となりにけり」(岡部十絲子)。このところ、駅前などで年賀ハガキの出張販売を見かけるようになった。12月の風物詩になっているといえそうだ。
といっても、年賀状のことを考えるのはちょっと早い気もする。余程送る枚数の多い人のほかは、意識するのはクリスマス前後ではないだろうか。習慣とはいえ、年を越す前に新年の挨拶を書くのは普通に考えれば奇妙なこと。だが、誰も不思議には思わない。
これはもちろん、元日に年賀状が届くためだ。確かに年賀状が来ると嬉しいもの。それを思えば、早めに買っておきたいのだが、用事の途中だと、必要な枚数がとっさに思い浮かばない。それで出張販売を見かけても購入をためらうことが多い。
それに毎年のことだが、買った後で枚数が多かったり少なかったりして失敗するケースがままある。また、この時期には知人友人などから身内に不幸があったために年賀の「欠礼」を伝えてくる。近年、とみにその数が増えている気がする。寂しいが、これも仕方がないことである。
最近は年賀状に限らず、ハガキの文字は印刷したものがほとんど。それで、たまに手書きのものが来ると妙に気持ちがなごんでくる。
やはり気持ちを伝えるには手書きで一言添えるのも礼儀。とはいえ、「年賀状だけのえにしもいつか切れ」(稲畑汀子)とならないように気をつけたいものである。