益川さん、小林さんが東京で講演


ノーベル賞受賞5年で

益川さん、小林さんが東京で講演

2008年のノーベル物理学賞受賞から5年を記念して開かれた講演会で、会場からの質問に答える高エネルギー加速器研究機構の小林誠特別栄誉教授(左)と益川敏英・名古屋大特別教授=30日午後、東京都西東京市の多摩六都科学館

 2008年のノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さん(73)と小林誠さん(69)の受賞5年を記念する講演会が30日、東京都西東京市の多摩六都科学館で開かれた。小林さんは「(現代物理学の基礎となる)標準理論は決して究極のものではない。未知の素粒子があり、未知の相互作用がある。それが研究の大きな課題だ」と述べ、国際リニアコライダー(ILC)など次世代の計画に期待を寄せた。

 益川さんと小林さんが公の場で顔を合わせるのは3年ぶり。益川さんらは1972年、当時4種類しかないとされていた最小の素粒子「クォーク」が6種類あると予想。理論はその後の実験で実証され、受賞につながった。

 会場の親子連れから「どういう人が物理学者に向いているのか」と質問を受けた小林さんは、「物事の理由、元を知りたいと突き詰めて考えるのが好きな人がいい」と回答。「挫折はなかったか」と聞かれた益川さんが「僕は能天気だから挫折なんかしない」と答えると、会場は笑いに包まれた。

 講演を聞いた武蔵野市の小学5年弓場健太郎君(10)は「ノーベル賞を取った人も、最初はこんなことを考えていたんだとよく分かった」と話していた。