ベルリンの教会、先行き不安な難民に安らぎ
ハイケル主教がアラビア語で礼拝、シリア難民が参列
シリアから今年ドイツに殺到した難民はイスラム教徒ばかりではなく、キリスト教徒も一定数おり、クリスマスから新年にかけての時期を特別な思いで過ごしている。希望の地にはたどり着いたが、先行きへの不安は拭えず、安らぎを求めて教会に集っている。
ベルリン南西部ツェーレンドルフにある正教会の教会では、レバノン出身の主教がアラビア語でも礼拝を執り行っている。この情報は難民らの間に広まり、クリスマスや27日の日曜礼拝には数十人のシリア難民らも参列した。
内戦前のシリアでは全人口の10%程度がキリスト教徒だったといわれる。戦闘が激化する中、多くが迫害を恐れ、いち早く母国を離れた。
中部ホムスに住んでいたイサ・カルドフさん(40)もその一人。「この教会を知ってほっとした。母語が使えるし、同郷人に会える。心穏やかに新年を迎えられる」と表情をほころばせた。
教会は祈りの場であると同時に、生活情報を交換する機会も提供してきた。2カ月前にベルリンに着いた30歳代のシリア人男性は「来年は難民収容施設から出たいが、住宅情報がなく困っていた。ここに来れば、ドイツ生活の長いシリア人もいて助言を得られる」と語った。
教会はこれまで接点のなかった多くの難民も新年の礼拝に招く予定で、他の信者らとの交流を促したい考えだ。ハイケル主教は「難民のためにやれることは全てやる。来年は他地域の教会との連携も強め、住まいや仕事のあっせんなど支援の可能性を広げたい」と強調した。(ベルリン時事)