澤穂希に“有終の美”、決勝ゴールで日本一


サッカー皇后杯で均衡破るヘッド、最後に見せた勝負強さ

澤穂希に“有終の美”、決勝ゴールで日本一

優勝を果たし、皇后杯を掲げるINAC神戸の澤(中央)=27日、神奈川・等々力陸上競技場

澤穂希に“有終の美”、決勝ゴールで日本一

新潟との決勝後半、先制ゴールを決めて喜ぶINAC神戸の澤(右)=27日、神奈川・等々力陸上競技場

 試合終了の笛が鳴ると、イレブンが自然に澤の周りに集まった。胴上げで4回、宙に舞う。現役最後の試合で置き土産として残したものは、代名詞とも言える、土壇場での勝負強さだった。

 新潟とは3度目の決勝対決。一進一退の展開が続いた。0-0で迎えた後半33分、キッカーの川澄は「最後のCKになるつもりで合わせた」。遠いサイドにボールを上げると、澤が走り込む。高い打点のヘディングでゴール右隅に決めた。苦しいときに何度もチームを救ってきた。2011年W杯ドイツ大会決勝の米国戦で、延長後半に決めたCKからの同点弾を思い起こさせる得点だった。

 16日に引退を発表した。自分にタイトルを取らせたいという後輩たちの思いを感じていたからこそ、「最後は自分で決めて、みんなの笑顔を見たかった」。試合前のミーティングで松田監督は選手に言った。「澤を見ろ。澤の動きだしにみんなが連動しろ」。ゴールは、なでしこでの5月24日のニュージーランド戦以来なかったが、中学時代から知るまな弟子のここ一番の力を信じていた。

 「大好きなサッカーをやり続けて自分なりに結果を残せた。納得のサッカー人生。それに尽きる」と笑顔で語った澤。日本女子サッカーの象徴だった37歳は、最高の形で現役生活に終止符を打った。