東大発ベンチャー、超小型衛星50機打ち上げへ
大型農場の作柄予測や油田監視などの活用が見込まれる
東大発の宇宙ビジネスベンチャー「アクセルスペース」(東京)が、超小型人工衛星50機を2017年から22年まで順次打ち上げ、そこから得られる世界の画像データを提供する新サービスを立ち上げる。複数機の小型衛星を使ったサービスの提供は国内企業で初めて。北米の大型農場での作柄予測や、産油国での油田監視業務など世界的にさまざまな活用が見込まれる。
サービスに用いる自社開発の超小型衛星は、大きさが60センチ×60センチ×80センチで、重さが80キロ。50機の衛星群により、地球上の全陸地の45%をカバーし、経済活動を行うほぼ全ての地域の情報を毎日更新する。1機当たりの製造コストは大型衛星と比べ100分の1で済む。提供する衛星画像サービスは、低コスト衛星を武器に、既存サービスと比べ10分の1の価格になる見通し。蓄積したデータの解析から、将来を予測するサービスも提供していく計画だ。
まず、17年に衛星3機を打ち上げ、18年からデータ提供を開始する。新サービスの立ち上げに際し、ベンチャー・キャピタル「グローバル・ブレイン」(東京)や三井物産、スカパーJSAT、ウェザーニューズなどが計19億円の資金を提供。出資社と連携しサービスを展開する。50機の打ち上げ費用を確保するため、中村友哉社長は「将来的には株式上場も視野に入れる」と話す。
アクセルスペースが提供する画像の解像度は、地上の自動車を識別できる程度で、人の顔は見分けられない水準に設定した。顔が識別できる高精細分野では、既に米国企業がしのぎを削っており、プライバシー保護などの課題も発生する。競合を避けると同時にリスクも減らし、気象観測から物流・交通量の把握まで、幅広い利用を見込む。