北朝鮮に拉致され2002年、24年ぶりに帰国…
北朝鮮に拉致され2002年、24年ぶりに帰国した蓮池薫さんは現在、韓国小説の翻訳家として活躍中だ。気流子も、家庭の在り方や性のモラルを問う幾人かの現代作家の作品を、蓮池さんの翻訳で知った。
人気作家、孔枝泳著『楽しい私の家』は、結婚と離婚を繰り返す奔放な女性を母に持つ女子高校生ウィニョンの青春の思いを綴っている。同じく孔さんの『私たちの幸せな時間』は、死刑囚と元人気歌手の女性との恋を描き哀切極まりない。
国内で話題騒然だったというパク・ヒョンウク著『もうひとり夫が欲しい』は、一夫一婦制の在り方に疑問符を突きつけた夫婦の話……といった具合だ。韓国の同時代作家たちが、次々と性のモラルや結婚、家族問題に斬り込んでいる。
これらの小説の内容は決してふざけたものでなく、幸福を得ようとの思いが表れている。儒教文化の根強く残る韓国社会が今、劇的に変化している事態を見据えてのことだろう。
韓国では今年2月、これまで既婚者の不倫を処罰してきた姦通罪が62年ぶりに廃止された。裁判所は「最近急増する個人主義と性解放的な考えが広がった」という社会的変化を考慮した決定であることを明らかにした。
社会の安定を根底から覆しかねない性のモラルの低下は、わが国に劣らず深刻なようだ。個人主義の影響で、非婚、晩婚、少子化傾向にも拍車が掛かり、韓国政府は対策に頭を悩ませている。