「雪近し蓆かけたる干大根」(鮫島交魚子)…
「雪近し蓆かけたる干大根」(鮫島交魚子)。陰暦の11月を霜月(しもつき)というが、その意味は文字通り「霜が降る」月ということになる。いかにも日本の自然を反映した表現で、11月という言い方よりは味わいがある。
季節感があふれた表現は俳句の季語によく残っていて、11月も「初冬」「神無月」「神の旅」「初時雨」「冬めく」「初霜」など枚挙にいとまがない。ちょっとした気温の変化や自然の移り変わりに敏感に反応して、それにふさわしい言葉を選んで当てはめた昔の日本人の姿が浮かんでくる。
そんなことを思い出したのも、知人がある週刊誌に「雪待月」号と銘打たれているのを見て、「雪が降るのを待つ月か、よく思いついた表現だな」と言ったからである。実は、この「雪待月」も11月の異名である。
マスコミが記事の見出しなどで語呂合わせをよくやるが、その種の造語と思ったようだ。異名には、意味は明らかではないようだが、「天正月」「竜潜月」などもある。
最近では、陰暦に合わせて生活をする人も増えているようだ。都会では季節感があまりないので、かえって陰暦が新鮮なのかもしれない。
語呂合わせでいえば、きょうは「いい(11)ふうふ(22)」で「いい夫婦の日」(昭和63年に余暇開発センター=現日本生産性本部=が制定)。毎日が無味乾燥になりがちだが、いい夫婦でありたいときょう1日だけでも思えること。それだけでも、記念日には意味がある。