世界体操、日本男子が団体で37年ぶりの金
美しい体操に高評価、アテネ五輪以来の団体制覇
体操の世界選手権は28日、英国のグラスゴーで男子団体総合決勝が行われ、日本が1978年ストラスブール大会以来、37年ぶりの優勝を果たした。内村航平(コナミスポーツク)が鉄棒で、田中佑典(同)が鉄棒と平行棒で落下し、大きなミスが三つ出たが、受け継がれてきた美しい体操が栄冠をもたらした。
五輪も含めれば、2004年アテネ五輪以来の世界一。爪先までピンと伸びた脚、ぴたりと止める着地など、正確な演技を積み重ねて頂点に立った。当時15歳の内村は「衝撃を受けた」と振り返る。団体総合の優勝と美しさにこだわる原点だ。
決勝で鉄棒をつかみ損ねて落ちた後、「やっちまった」と思いつつ、意識はすぐにその後の演技へと切り替わった。1・0点の減点は大きいが、残りの技を完璧に演じれば、高い得点が計算できる。落下の動揺を着地の乱れにつなげない練習も、普段から意識してやってきたことだった。
再開後は着地まで流れるように演じ、出来栄えを示す10点満点のEスコアで8点近くを稼ぎ、「日本の体操は美しいという評価をもらった」。田中佑の平行棒のEスコアも8点を超えた。
06年に採点方式が変わり、技の美しさよりも難しさが評価されやすい仕組みになった。その後、完成度を重視するよりも、高難度の技を組み込む中国に勝てなかったが、ついにその壁を破った。
アテネ五輪代表の水鳥寿思監督は「日本の体操が評価され、率直にうれしく思う」と万感の表情。体操ニッポンが若い力も加え、リオデジャネイロ五輪に弾みをつける新たな歴史を刻んだ。(グラスゴー〈英国〉時事)