中央アジアのキルギス共和国を初めて訪れた。…


 中央アジアのキルギス共和国を初めて訪れた。首都ビシケクを走っている乗用車の8~9割は日本車で、ほとんどが中古車だった。トヨタ、ホンダ、日産などの少し型落ちした車のオンパレードである。

 キルギス日本センターの高坂宗夫共同所長によると、この国で日本への評価が高い理由の一つが、車など日本製品の品質の良さ。「欧米の新車より、日本の中古車の方が故障も少ないと言われている」(高坂氏)。

 そんな話をキルギスで聞いていた頃に発覚したのが、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正。テレビのCMなどを見ても分かるように、一流企業であるほど、企業イメージをアップするために、環境やエコロジーへの関心や貢献の高さをアピールしている。

 それが、排ガス量を狡猾な詐欺的手法でごまかしていたのだから、話にならない。地球環境問題など真剣に考えてはいないことを証明したようなものだ。ブランドに大きな傷が付いた。

 VWは今年1~6月期にトヨタを抜いて、自動車販売台数世界一の座に着いたところ。しかし、ブランド力は品質や性能に対する長い信頼によって築かれるものだ。この不正で長年の努力も水の泡となりかねない。

 最近ジャパン・ブランドという言葉も聞かれるようになった。しかし日本は、あくまでジャパン・クオリティーを追求すべきだ。ブランド・イメージも重要だが、基本から外れると大きな落とし穴が待っている。