当初の予定から4カ月遅れで2015年3月期の…
当初の予定から4カ月遅れで2015年3月期の連結決算を発表した東芝。不正会計の不祥事に加え、決算発表を2度も延期する事態が重なり、信用回復は容易でない。
同社は今月末に発足する新経営体制で、取締役11人のうち7人を社外から起用する。「外部の目」で経営を監視するという。
また約120人の幹部が無記名で社長を評価する「信任投票制」なども導入する。現在、大学の中には教授の講義内容の出来不出来を学生が判断し、その意見を集計して報酬査定の参考にしている所がある。
似たようなことが経営者と社員の間で行われるようなものだが、どれほどの効果があるか疑問だ。社員は社長の意向を受けて、一生懸命に会社のためにやろうとするのである。それを「信任!」「不信任!」などと言い合う会社は「船頭多くして船山に上る」になりかねない。
今回、不正会計は上司の意向に逆らえない企業風土の下で起きたという。確かに今後、同社経営陣には、妥当な目標設定と過度なプレッシャーを与えずに達成を求める組織運営が必要となる。
しかし、社長の行いを牽制する仕組みの整備ばかりを急ぐのは安直だし、いずれ形骸化するのは目に見えている。わが国には儲け一辺倒でなく「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」という考え方があった。そういう理念の喪失を社員全員が省みることが先決ではないか。