谷井孝行が歴史刻む表彰台、荒井と誓ったメダル
世界陸上で日本勢初の銅メダル、リオ五輪代表一番乗り
猛暑のサバイバルレース。32歳の谷井が50キロを耐え抜き、日本の競歩の歴史に名前を刻んだ。過去5度の世界選手権では届かなかった表彰台。「メダルを狙ったレースができた。やり切った」と感慨に浸った。
「僕は粘ることは得意」と高温多湿のレースに適応。序盤から2位グループに加わり、20キロ付近で集団がペースアップしても問題なく付いた。
メダル争いが5人ほどに絞られた40キロすぎ、ともに上位争いをしていた同僚の荒井と誓い合った。「メダルを取ろう」。日本競歩界の悲願に向け、44キロ付近で3番手をとらえて突き放し、マッチレースに。荒井に競り勝って銅メダルを射止めた谷井は「自分だけ取って申し訳ない」と照れ笑いした。
日本陸連の今村文男競歩部長によると、以前の谷井は「人が練習をやっていると、それより多くやる。練習はいいけど試合では、というタイプ」。オーバーワークがたたり、狙った大会で結果を出せなかったが、苦い経験から学び、昨秋のアジア大会で金メダル。30歳を過ぎて移籍した自衛隊で、荒井や山崎と切磋琢磨(せっさたくま)。谷井は「刺激し合える仲間がいるのが大きい」と周囲に感謝する。
「我慢してやった時期があったから今がある」という達成感の半面、3度出場した五輪には悔いが残る。「ロンドン大会で途中棄権した時、リオでメダルを取る覚悟でやってきた」。次はリオデジャネイロで快挙の再現を目指す。(北京時事)