女性を模して作られたという土偶は、縄文文化…


 女性を模して作られたという土偶は、縄文文化を代表する遺物。生活の中で一般化していくのは約4700年前で、縄文時代中期の前半である。形は時代によって変化し、役割についても精霊説、女神説などさまざま。

 福島県郡山市にある大安場史跡公園で企画展「縄文の風景~ハート形土偶の生まれた時代~」が開催中だ。ハート形土偶は約3700年前の縄文後期に登場し、大きなハート顔が特徴である。

 東北地方から関東地方に暮らした人々が、人や動植物の再生を願う儀式に使ったと言われる。展示会場には驚いたり、怒ったり、悲しんだりしている表情豊かなハート形土偶が集められている。

 芸術家の岡本太郎が作った「太陽の塔」は、この土偶がモデルだった。作家の川端康成もコレクションしていて、昭和44年に肖像写真家ユーサフ・カーシュが撮影した、ハート形土偶と並んだ写真も展示されている。

 群馬県の郷原遺跡で発見されたことから、分布は関東地方が中心だと考えられてきた。が、研究が進み、現在では郡山市田村町や田村郡三春町周辺の阿武隈高原で誕生し広まったと推測されている。

 この時期、寒冷期を迎えて集落数が激減し、子供専用の棺も増える。生活が厳しいため、土偶を用いたと考えられると解説。発掘された竪穴住居跡や土偶の付いた土器などを紹介して、その生活風景を偲ばせている。8月30日まで。