百貨店が「アラ60」世代に熱い視線
大人のおしゃれ強化、シニア層を主要顧客
子供が独り立ちし、経済的にも余裕が出てくる60歳前後の「アラ60」(アラウンド60)世代に、百貨店が熱い視線を送っている。「若い頃からファッションを楽しみ、おしゃれに敏感な世代」(大手百貨店関係者)に足を運んでもらおうと、各社が知恵を絞っている。
55歳以上の売り上げが7割を占める松坂屋上野店(東京都台東区)は、アラ60以上のシニア層を主要顧客に据える。おしゃれな高齢者を狙い、例えば靴売り場では、デザイン性と履き心地を兼ね備えた商品を強化する。
アラ60への特化は南館を建て替えるまでの間、売り場が狭くなることに伴う苦肉の策。店員が店内を一緒に回って買い物を手伝ったり、代わりに商品を探したりするサービスも提供。「ターゲットを絞り込み、小さくても、欲しい物を見つけやすい店」(小宅祥広営業推進部長)をつくることで、売り上げ維持を目指す。
一方、そごう・西武は、シニア向けの自主開発品(プライベートブランド、PB)に力を入れる。今年3月には年配の女性の体形に合わせたデザインに、伸び縮みする素材を採用した「動きやすく美しく見える」パンツを発売。好評を博し、販売は計画を上回る。
同社は「もっと格好いいシニアをつくっていきたい」(開発部)として、団塊世代の男性向けのカジュアルなPBの展開も始めた。年明けには新商品投入で品ぞろえを充実させ、他の百貨店との差別化を図る方針だ。