ラグビー界「ミスター主将」箕内拓郎さん引退
39歳元日本代表FW、「たくさんの信頼できる仲間ができた」
ラグビー界の「ミスター・キャプテン」が選手生活に別れを告げた。ワールドカップ(W杯)で2003年、07年大会ともに主将を務めた元日本代表FWの箕内拓郎さん(39)NTTドコモ。188センチ、107キロのいかつい体。グラウンドでは鋭く、仲間には優しさをにじませる大きな目。人柄を慕う後輩たちが、大阪市の所属先で2月17日に行われた記者会見を見守った。
昨夏の練習試合で目を負傷した。水晶体亜脱臼。医師にコンタクトプレーを禁じられる。ラガーマンの生命線を断たれて現役を断念したが、トップリーグ(TL)期間中は発表せず、裏方役に徹した。「自分ができることをやる」。日本代表キャップ数48を誇るベテランが、フォア・ザ・チームを貫いた。
関東学院大の主将として初の大学日本一。英オックスフォード大留学を経て、1999年に入ったNECでも主将。優れたキャプテンシーについて、大学恩師の春口広さんが振り返る。「マイボールか相手ボールかギリギリの局面でも、飛び込んでのセービング。強い気持ち、責任感。そういう部分がすごく伸びた」
本人は現役を振り返り、「たくさんの信頼できる仲間ができた」と胸を張る。唯一の心残りは「岩手のチームで頑張っている人より先に退いたこと」。東日本大震災を乗り越えTL初昇格に迫った釜石シーウェイブスの伊藤剛臣選手(43)。03年W杯をともに戦った。昨夏の合宿で顔を合わせ、互いに現役続行の意思を確認したが、自分が目を負傷してしまった。
来季からはNTTドコモのコーチ。「気持ちの強い選手を育てたい」。箕内さんの本質は変わらない。