映画「サムライフ」


夢だった自分の学校を作る

映画「サムライフ」

教え子たちと教師のナガオカ(中央、三浦貴大)=©2015『サムライフ』製作委員会

 不登校やひきこもりなど、学校教育の現場では、深刻な問題を抱えている。この映画の原作は、長岡秀貴著の同名の自叙伝で、地元・長野県で自分の学校を作り上げるという夢を実現させた教師の物語だ。

 主人公のナガオカ(三浦貴大)は小学校4年生の時、担任の先生が嫌いになって、「俺がやったほうがまし」と思う。高校に進学すると野球部に入ったが、左半身不随となり、社会復帰は不可能といわれた。が、命懸けのリハビリで復帰を果たし、大学を卒業して高校教師になった。

 そして5年後、夢をかなえるために教師を辞める。貯金と退職金で家を建て、車を買ったことで、残った全財産はたった725円。背水の陣を敷いたという。

 学校設立のためには資金を作る必要があった。頼れるのは自分の力だけと、ショットバーを作る。噂(うわさ)を聞きつけて、元教え子たち4人が集まってきた。話し合いからさまざまなアイデアが生まれ、その一つが次の資金集めについてで、ケンジ(加治将樹)はナガオカに体験を書いて本にしたらいいという。

 さっそく実行に移し、本が出来上がると、教え子たちは書店まわりをはじめる。

 準備の一方、ナガオカは学校へ通えない少女たちのケアを続け、彼ら家族の抱えた人生の重さに直面する。

 森谷雄監督は、原作に出会って一晩で読み終え、展開する群像劇に深く感動したという。その映画化によって監督デビューを果たした。2月28日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか、全国順次公開。(岳)