最近、よく週刊誌などに、部位別のがん治療…
最近、よく週刊誌などに、部位別のがん治療における全国の名医、病院のランク付け記事が出ている。だが、専門家から見ると「一面的だ」という話を、ある医療従事者から聞いた。それによると、こうした記事は単に病院発表の治癒率が高い順に並べたものが多い。
上位の医師や病院は概して診察の段階で患者を選別している。治癒が可能な患者だけをピックアップし引き受けているというのである。
悪性がんなどで手に負えない患者は、テリトリー外として治療を断り、他の病院に回したりする。何のことはない、治るべくして治った患者の治癒率だから、高いはずだ。
本当の名医はむしろ、回されてきた患者を引き受け、あえて最期を看取るまで悪戦苦闘する医者だ、それが医術だと、この医療従事者は言う。大病院に集まる若い医者の中には患者をうまくさばくことばかりに長けている者が多い、とも。
がんは、その的確な治療法について、さまざまな所見があり、やっかいな病気であるから、こうした考え方が必ずしも正しいとは言えない。しかし、核心を突いているように思われる。
一方、がん患者も近頃は治療法についての知識を持ち、本人が心から信頼でき、相性もよい医師を選ぶ努力をしている。国の来年度予算案はきょう閣議決定されるが、医師と患者がともに納得できる医療の充実のため、政策で後押しすることが求められる。