海洋機構など、巨大地震の滑りが釜石沖まで


プレート境界で広がる、「繰り返し」に影響

海洋機構など、巨大地震の滑りが釜石沖まで

東日本大震災の巨大地震発生後、プレート境界のゆっくりした滑りが岩手・釜石沖の「繰り返し地震」に影響した方向を示す海洋研究開発機構の有吉慶介技術研究員=11日、文部科学省

 岩手・釜石沖の地下深くのプレート境界ではマグニチュード(M)4・8程度の地震が約5年おきに繰り返し起きてきたが、東日本大震災の巨大地震(M9・0)発生後は名残のゆっくりとした滑りが広がった影響で、1年間で7回も頻発したとみられることが分かった。

 海洋研究開発機構と東北大、名古屋大の研究チームがスパコン「地球シミュレータ」を使ったモデル計算で仕組みを検証した成果で、16日付の米科学誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズに発表した。

 海洋機構の有吉慶介技術研究員によると、プレート境界の「繰り返し地震」が他にも見つかり、異常な変化が観測されれば、大地震を起こす可能性があるプレート境界の状況を詳細に把握できる。

 四国南東沖では南海トラフ地震、関東・東北沖では大震災の巨大余震に備え、海底地震津波観測網の整備が進んでおり、観測データが蓄積されれば繰り返し地震が見つかる可能性があるという。

 沖合地下では海側プレートが陸側プレートの下に沈み込んでおり、境界の普段は固着している部分が急に滑ると地震が起きる。釜石沖では固着と滑りを繰り返して地震が起きてきたが、宮城沖のプレート境界で巨大地震が発生。広い範囲が滑り、時間をかけてさらに広がったため、釜石沖の固着と滑りのペースが乱れたと推定される。