中断期に戦術を修正、パトリック加入が絶大
サッカーJ1でG大阪が9年ぶり優勝、昇格1年目2冠を獲得
けがでエース宇佐美を欠いたリーグ序盤、G大阪は不振にあえいだ。ワールドカップ(W杯)ブラジル大会による中断前は16位で終わった。14試合で14得点19失点。明らかに攻守のバランスが悪かった。だが、長谷川監督は、立て直しへ手応えをつかんでいた。「中断前から、だいぶいい感じになっていた。続けていけば大丈夫と、自分の中では思っていた」
中断期間には、まず守備の改善に着手。「超攻撃」が看板だったチームに守備の約束事をつくって意識を徹底させてきたが、まだ足りない部分を強調した。ボールを奪われた直後の素早い切り替え、サイド攻撃に対するDFの位置の細かい修正、中央を厚くする陣形。攻撃面では持ち味の中央突破をより生かせるように、クロス攻撃に磨きをかけた。
そして何より大きかったのが、昨季は甲府、川崎でプレーし、中断期間に獲得したパトリックの存在だ。189センチの長身ながらDFの背後を突くスピードもあるFWは、まさに監督の要望通りの補強。敵陣深くまで一気に進入することで、攻撃に奥行きが生まれた。空いたスペースを宇佐美が自在に動き回ることで攻めの破壊力が増大。中断明けの甲府戦から5連勝し、一気に5位まで順位を上げた。
8月末からは、さらに7連勝をマーク。中でもロスタイムに勝ち越した鹿島戦は、大きな自信をもたらした。「本当に俺たち強いかもと思った」とは守備の要の今野。11月22日の浦和との直接対決では、終始相手ペースの中でも勝ち切り、逆転優勝への道を切り開いた。「ここで勝たないといけない試合は全て勝ってきた。やることは変わらない」(宇佐美)。交代選手の活躍も光ったチームは、シーズンが進むにつれて王者にふさわしい力を備えていた。
長谷川監督は開幕前、「J1優勝こそ本来の復活」と目標を掲げた。初めてJ2に落ちた昨季に監督を引き受けた理由は明快。「自分の考えるサッカーをすれば、このチームであれば勝てると単純に思ったから」。攻守に生まれ変わったG大阪。言葉通りに9年ぶりの優勝へ導いた。