東工大、高温でゴムになる特殊なガラスを開発


東工大や旭硝子が英科学誌ネイチャーに発表、幅広い応用期待

東工大、高温でゴムになる特殊なガラスを開発

約250度でゴムのように伸縮する特殊なガラスを開発したと記者会見で説明する旭硝子中央研究所の稲葉誠二主席研究員=11月28日、東京都目黒区の東京工業大岡山キャンパス

 高温にするとゴムのように伸縮させることができる特殊なガラスを開発したと、東京工業大の細野秀雄教授や旭硝子中央研究所の稲葉誠二主席研究員(元東工大特任助教)らが1日付の英科学誌ネイチャー・マテリアルズ電子版に発表した。

 高温環境で動く機械の接続部をふさぐ部品や衝撃吸収材など幅広い応用が考えられ、旭硝子は「ニーズがあれば実用化できるかもしれない」と説明している。

 窓などに使われるガラスは二酸化ケイ素(シリカ)が主成分だが、この特殊ガラスはリンと酸素の分子が主成分。実験では、特殊ガラスでできた棒が約250度の環境で伸縮した。伸び縮みの程度は大きさや引っ張り方などの条件によるという。

 ゴムが伸縮するのは骨格となる鎖状分子同士の所々が硫黄によって「ピン留め」されているため。細野教授らはこの構造をまね、リンと酸素から成る鎖状分子をリチウムでピン留めしたガラスを開発した。稲葉さんは「ゴム弾性を示すガラスの設計方法が分かった」と話しており、将来は二酸化ケイ素が骨格のガラスでも伸縮させられる可能性があるという。