町田樹、スケートアメリカで新プログラム熱演
大会2連覇、「勝負を受けて立つ」とライバルにメッセージ
体が悲鳴を上げていた。演技を終えた町田は力尽きたように膝をついた。採点を待つ間も放心状態。観客の大歓声を聞いてようやく「苦しみが報われた気がした」。全力を出し切った充実感がこみ上げた。
新プログラム、ベートーベンの「第9交響曲」は、「120%を出さないと形にすらならない」というほど難しい挑戦だった。体力が落ちた後半に3回転フリップで手をつくミスが出たが、その他はしっかりまとめ上げた。今季初戦で状態も万全とはいえない中、上出来の内容。「結果も点数も演技の出来も、今の僕の100%。満足している」。伸びしろを実感できたことは収穫だった。
2位のブラウン(米国)に34・92点の大差をつける圧勝で大会2連覇。最高のスタートは、後に続く日本男子勢に向けた強いメッセージとなる。「日本には羽生選手をはじめたくさんライバルがいる。(グランプリシリーズの)初戦でいいボールを投げられたと思うから、どう投げ返してくるのか。その勝負を受けて立ちたい」。強いライバル心を隠さなかった。(シカゴ時事)