ウイスキー人気回復へ、高級品の生産・販売強化


ニッカ、NHKの連続ドラマを追い風に

ウイスキー人気回復へ、高級品の生産・販売強化

「サントリー白州蒸溜所」に新設されたウイスキーの蒸留釜=24日、山梨県北杜市

 国内ウイスキー市場を再び活性化しようと、国内大手2社が生産や販売を強化する。質を高めた自社の高級品をてこに、新たな顧客層として若者や外国人観光客を取り込む考えだ。

 アサヒビールは26日、傘下のニッカウヰスキーの高級ブランド「竹鶴」の今年の販売目標を15万5000ケース(1ケースは8・4リットル換算)と当初の2割増に修正。30日にはニッカに残る最も古い原酒を使った「ザ・ニッカ40年」(700ミリリットル)を700本限定で売り出す。税別で50万円の高価格ながら、「百貨店などの関心は高い」(平野伸一アサヒビール専務)という。

 ニッカは、創業者の竹鶴政孝がNHKの連続ドラマの題材となったことも追い風に営業活動を強化。店頭販売などにアサヒグループの社員延べ7000人を年内に投入する予定だ。

 一方、国産ウイスキー首位のサントリー酒類は、昨年の山崎蒸溜所(大阪府島本町)に続き、今年は白州蒸溜所(山梨県北杜市)で蒸留釜を増設、今月稼働させた。

 白州の原酒生産能力は33年ぶりの蒸留釜増設で3割拡大。同蒸溜所で造る高級ブランド「白州」は20~30代の若年層や女性の支持が高く、鳥井憲護ウイスキー部長は「将来の需要に対する供給体制を整えた」と話す。

 国内のウイスキー市場は、1983年の38万キロリットルをピークに、2008年には7万キロリットルにまで減少。その後は炭酸水で割った「ハイボール」人気でやや持ち直し、13年は11年ぶりに10万キロリットルを上回った。