国土地理院、「三角点」10年後「引退」か
GPS発達で利用減る、「目印」で存続も
土地を測量する際の基準となる「三角点」について、国土地理院の検討委員会がこのほど、全地球測位システム(GPS)などの精度向上に伴い、10年後には基準として使われなくなるとの見通しを示した。地理院は今後、三角点の維持管理などを見直す方針だが、山の「目印」に使われているものもあるため、全てが撤去されることはないという。
三角点は、ある地点の緯度経度や標高を正確に測った地点で、ゆがみのない地図を作るための目標として使われる。
近代国家にふさわしい科学的な地形図を作るため、1883年ごろから本格的に設置が始まり、現在は全国約10万カ所に設置され、目印として四角い標石が置かれている。
地震などでずれが生じるため、三角点は定期的な測量が必要となるが、最近はGPSなどに使う人工衛星が増え、三角点を使わずに正確な位置情報が得られるようになった。地理院が測量業者の一部に実施したアンケートでも、三角点だけを使う業者は1割程度に減っていた。
地理院自体もGPSや通信装置を組み合わせた「電子基準点」を全国1240カ所に整備し、地震後の地殻変動の検出に活用している。今後、具体的な三角点の在り方を検討するが、山頂付近に設置された三角点は、その山の「目印」として親しまれていることも多く、担当者は「全てを撤去するようなことにはならない」との見方を示した。
離島に設置された三角点も、国境線の画定に使うなどの理由から、測量作業を限定的に続ける可能性があるという。