岩手・陸前高田、思い出のまちで最後の祭り
地盤のかさ上げ工事の本格化で
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市で7日、伝統的な夏祭り「うごく七夕」と「けんか七夕」が開催された。震災の年も途切れず続けてきたが、復興工事の影響で慣れ親しんだ場所での開催は今年が最後になった。
同市高田町の「うごく七夕」は各地区ごとの山車が華麗さを競ってきた。津波で流されたものを新たに製作するなどし、今年は色とりどりの飾りが付いた11台が登場。太鼓や笛の音を響かせながら、子供たちの威勢の良い掛け声の中、通りを練り歩いた。
旧市街地では秋以降、地盤のかさ上げ工事により、震災前の名残をとどめる町並みは姿を消す。地区代表の佐藤徳政さん(32)は「みんなが住んでいた場所がなくなるのは少し寂しいが、形を変えてでも祭りを続けたい」と願った。
同市気仙町で900年以上続く「けんか七夕」。15メートルの「かじ棒」を付けた山車同士のぶつかり合いに、見物客は大きな歓声を上げた。長年「けんか」の舞台だった通りもかさ上げ対象となる。幼い頃から参加してきた菅野とも子さん(66)は「津波で地域がばらばらになり不安だけれど、新しいまちでまた祭りができればいい」と話した。