東大宇宙線研、重力波観測のトンネルを公開
岐阜・神岡鉱山地下で、「かぐら」15年末に試験運用
超新星爆発などで発生する重力波を世界で初めて直接観測することを目指す東京大宇宙線研究所の巨大装置「KAGRA(かぐら)」のトンネルが4日、岐阜県飛騨市の神岡鉱山地下で報道陣に公開された。超精密な観測装置の搬入、組み立てが近く始まり、2015年末から試験運用する。
かぐらは長さ3キロのトンネルを2本、L字形に配置。各トンネルに真空パイプと鏡を設置し、内部でレーザー光線を往復させる。宇宙から重力波が届くと空間が微妙にゆがみ、2本のトンネルでレーザーが届く時間に違いが生じるため、検出できる。
地上の振動の影響を避けるため、地下200メートルより深くに設置し、鏡を極低温に冷却して熱変形を防ぐ工夫もした。東大宇宙線研の斉藤芳男特任教授は「重力波の巨大観測装置は欧米にもあり、どれだけ感度良くできるかが大事。これから観測装置の整備が大変だが、日本が最初に重力波を捉えたい」と話した。
重力波は3月、米研究チームが宇宙誕生時に発生した痕跡を南極の電波望遠鏡で間接的に検出したと発表したが、データが不十分で確定していない。かぐらの近くには、小柴昌俊東大名誉教授が素粒子ニュートリノを観測してノーベル物理学賞を受賞した装置の後継機「スーパーカミオカンデ」や、謎の「暗黒物質」の初観測を目指す装置「XMASS」もある。