「海がどんなものか、話で聞いただけでは…
「海がどんなものか、話で聞いただけではだめ。海を体感し理解するために海に出てみよう」と海事に関する著書が多い山崎祐介・富山商船高専名誉教授。
「海」をテーマに若者の情操育成を活動の一環とするNPO法人世界平和海洋訓練教育協会(本部・神奈川県横浜市)の講演会が一昨日行われた。冒頭の言葉は「海が好きだ」と題した山崎氏の講演の一節だ。
「国民が海を身近に感じられるよう、幅広い参加が得られる行事や海洋観光など、海洋に実際に触れ合う機会を充実させることが大事だ」とも。同協会は創立3年目、国内外で釣りのツアーやトーナメントを開催し、青少年を対象とした海洋訓練教育などを進めているという。
わが国では今、科学調査や研究が行われ、領海および排他的経済水域(EEZ)の豊かな海洋資源の存在が明らかになってきた。また中国の海洋進出に対する周辺海域の安全確保に向けて真剣な対応が進みつつある。
ところが人々が海のレジャーや海上遊覧などを楽しむ機会は、地中海や大西洋の沿岸に住む人に比べ少ない。2007年に海洋基本法が制定されたものの、国民の関心の高さはいまひとつ。NPOなど民間機関の果たす役割は大きい。
若者が自動車に熱中した時代は自動車産業が栄えた。今後、青少年が海洋に興味を持ち、日本の立ち位置がしっかり自覚されれば、本物の「海洋時代」が訪れるだろう。